フィリピンのテオドロ国防相は27日、フィリピン国防省はフィリピンの現政権が2022年に発足して以来、南海の紛争について中国といかなる内部協定を結んだことを知らないし、結んだことはありえないと表明した。フィリピン側が仁愛礁問題をめぐる中国とフィリピンの「紳士協定」を公に否定するのは、マルコス大統領、アノ国家安全担当顧問に続いてだ。

　仁愛礁は中国の南沙諸島にある無人島だ。中国がフィリピンを含むASEAN諸国と締結した「南海各方面行動宣言」の第5条は、南海の無人島と岩礁の「無人無施設」状態を維持すると明確に定めている。フィリピンの軍艦「シエラ・マドレ」は1999年5月9日、仁愛礁に違法に「座礁」した。中国が厳重に抗議すると、フィリピン側は違法な「座礁」軍艦を回収することを何度も約束し、「南海各方面行動宣言」に違反する最初の国にはならないと表明した。しかしフィリピンは25年が経過しても同艦を回収していない。

　中比両国はフィリピンのドゥテルテ政権時代、南海情勢を安定して管理するため、仁愛礁問題についての「紳士協定」に合意した。すなわち、フィリピン側は違法な「座礁」軍艦に建設資材を搬送しないことを約束し、中国側は人道主義を出発点として、フィリピン側が違法に「座礁」させた軍艦に必要な生活物資を輸送することに対して臨時の特殊措置を適用した。

　中国とフィリピン双方の関係部門と機関は2022年6月にフィリピンで現政権が発足してから2023年2月初めまで、この協定を順守した。中国は2023年、フィリピン大統領の対中特別作業特使を中国に招き、仁愛礁情勢の管理と抑制について協議し、内部了解に達した。中国は今年初め、外交ルートを通じてフィリピン側と協議を重ね、仁愛礁への物資補給の「新モデル」で合意した。しかし、合意や取り決めは一度だけ実施された後、フィリピン側により一方的かつ理由なく放棄された。

　フィリピンの現政府はなぜ信義に背いて、違法に「座礁」させた軍艦に建設資材をしばしば運んでいるのだろうか。一つの考えられる説明は、この荒れ果てた船の状態があまり芳しくないので、フィリピンは中国を挑発し続けて約束を反故にする「小人」になったというものだ。もう一つの原因は、米国が中国を「最大の戦略的ライバル」と見なしている中で、フィリピンは米国の力を借りて違法な「座礁」軍艦を強化し、仁愛礁の永久占拠を実現しようとしていることだ。そのためには米国が地域問題に介入するための駒になることもいとわないということだ。

　フィリピンが中比の「紳士協定」をあくまでも否認すれば、歴史を顧みず信義を完全に失い、地域情勢を混乱させる罪人に転落するだけだ。フィリピンにとっての正しい選択とは、歴史を尊重し、約束を守り、挑発をやめ、対話の道筋と交渉のテーブルに戻ることだ。